青空の下で読む『古今和歌集』 in 多布施河畔公園

 緑いっぱいの気持ちよい風景の中で、古の美しい和歌に親しみました。

 古典なんて古くて難しいと思われがちですが、とっても斬新で美しく、今海外の方々から注目を浴びているのです。

 私に和歌を教えて下さったのもブルガリア人のとってもかっこいい教授で、英語で話しながら、

っと『枕草紙』をバックから取り出す、そんなことがとってもクールなのよと言っていたものです。

 それに和歌は短いから、育児中でもぱっと読めます。

 今回取り上げたのは『古今和歌集』の春の部。

 最初に『古今和歌集』が平安時代の貴族社会の中でどのような位置づけだったかを知るために

『枕草紙』二十段を、

 また当時の物語文学にどのような影響を与えたかを知るために『源氏物語夕顔』を紹介しました。

 

 『枕草紙』では、『古今和歌集』を諳んじることが当時の貴族の中の必須教養だったこと、

『古今和歌集』の和歌が確立した美意識を日々の中に取り入れて、日常を美しく彩ったことを知ることができます。

 

 また一つの言葉に幾つもの意味がある和歌は、短いながら、イマジネーションを掻き立て、『源氏物語』を始め様々な物語の苗床になりました。

 その後お母さん達に一人一人好きな和歌を一つずつ選んで、吟詠してもらい、

どうしてその和歌を選んだのか語り合いました。

 一人一人違った和歌を選ぶので、それぞれのことをより深く知る機会になり、

また各自が選んだ和歌にそのような良さがあったのかと再発見になりました。

 

 和歌は短くて、それぞれの気持ちを自由に投影できるせいか、予定外にみんなの打ち明け会になり、

それぞれの悲しみを共有する会になりました。

 

 しかし、悲しみをお日様にあてて虫干しするという意味で虫干し会という名前がつき、

海や原っぱでその後幾つかの虫干し会が開かれることになりました。

 

それまでお互いのことを深く知らなかったメンバーが一気にお互いのことを知り、深い絆で結ばれる会になりました。

 

 その後夕暮れの川辺で遊んだり語り合ったり、最後はのんびりと情緒のある時間を過ごしました。

 

心を開放すること、それからそれを優しく共有することができたけれど、

ひとえにメンバーが優しいからこそできることだと、メンバーに深く感謝しました。

 さて皆さんの選んだ和歌たちを一部紹介します。

 

雪の内に 春はきにけり うぐひすの こほれる涙 今やとくらむ   二条后

 

 辛いことがあっても、喜びがもうそこまでやってきてるのだよ、という希望を、

鶯の凍った涙が溶けるという美しい表現にした、古人の自然への眼差し、

人生の受け止め方を感じる一首です。